コラム

EMCの試験方法③IEC 61000-4-3 放射無線周波電磁界イミュニティ試験

2015/12/24

みなさんこんにちは。

EMC測定の基礎も今回で6回目となります。

EMCの試験方法

さて、昨年に続きイミュニティ試験の説明をさせていただきますが、その前に前回までのおさらいをしておきましょう。
EMCの測定や試験の種類を大別すると、ノイズが伝わる経路で伝導や放射、自身が放出するノイズの大きさか、外部から来るノイズの耐性かでエミッションやイミュニティという言葉が出てきたと思いますが、まとめると下図のようになります。

 

zu-emc

 

数あるEMC評価項目も大凡この4種類の中に入ってきます。
簡単な絵にしてにるとつぎのようになります。
少しはわかりやすいでしょうか?

 

zu-emi

 

今回は、電源コードや信号線を伝わって外部から侵入してくるノイズに対する耐性を評価する試験のひとつで、過渡現象で発生するノイズの試験についてお話しましょう。
過渡現象とは、ある定常状態から別の定常状態になる間の状態に起こる現象を言います。 まずはIEC 61000-4-4電気的ファストトランジェントバーストイミュニティ試験からです。 「なんじゃ、それ!?」って思われるかも知れませんね。名称がやたら長い上に良くわからない言葉が並んでいる。なんで規格をつくる人はこんな名称をつけるんだろう…って思うのですが、試験内容が明確に表現されているので、まぁいいかな。 この試験は、製品の電源を入れたり切ったり、機械だったら動作を始めたり終えたりといった動作の瞬間(過渡)に発生するノイズを擬似的に発生させてその影響を受けないかの評価を行います。

 

pic-haefely01

 

テレビやラジオを見聴きしているときに、照明を点けようとスイッチを入れた瞬間、「パチッ」といった雑音が入ったという経験をされた方もいらっしゃると思いますが、これと同様なノイズになります。
試験は写真にあるような機器を使い、対象となるラインは他の機器と繋がるような電源や信号線で、これにノイズを注入します。このノイズはスイッチの断続などの瞬間的に発生するノイズを模擬しますので、先月ご紹介した放射電磁界試験のように、連続的なノイズではなく、50ナノ秒(ナノ:1000000000分の1)という非常に短いノイズが、ある時間一定の間隔で発生するような設定になっています。印加ノイズの波形や間隔などは規格で細かく規定されています。時間は短いのですが、その短さが災いして高速デジタル回路を持つような製品にとっては最大の敵になっています。また、その電圧は500Vから4000Vと非常に高く厳しい試験なんです。

過渡現象によるノイズの試験としては、IEC 61000-4-5 サージイミュニティ試験もそのひとつです。サージというのは、電気回路などに対して瞬間的に以上に高い電圧が発生する現象です。この規格の要求は、サージの中でも雷に起因する雷サージの影響について試験を行います。

 

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こんな雷に直撃されたら元も子もありませんが、直撃されなくても近くで雷が鳴っている状況でも大きな電圧・電流が発生します。これを誘導雷と言いますが、このようなサージによる影響による誤動作について評価するのが、サージイミュニティ試験になります。 試験の方法は、電気的ファストトランジェントバーストイミュニティ試験と同じように試験機で発生するサージを電源ラインなどに印加します。ただ雷サージに対する試験になりますので、屋内で完結するような信号線などは対象外となり、屋外に繋がる電源線や通信線が試験対象となります。
サージ試験もパルス状の非常に高い試験電圧ですが、対象となる機器によっては、10000Vを超える電圧で試験することもあるんですよ。多くのイミュニティ規格では、試験中誤動作を引き起こすことはあっても殆ど壊れてしまうことはありませんが、このサージイミュニティ試験は、唯一製品を壊してしまう可能性が大きい試験です。でも決して破壊試験ではありませんので。
このように、ちょっと…いや、かなり怖い試験ですが、きちんと対策された製品ではサージを「ドーン!」と印加しても、何事も無かったかのように平然と動作を続けています。何かとても頼もしく思えてきます。
今回は、伝導イミュニティ試験の中で、過渡現象に関わる2つの試験について説明させていただきましたが、次回はもうひとつの伝導イミュニティ試験IEC 61000-4-6について書きたいと思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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