コラム

EMCの試験方法①IEC 61000-4-2 静電気放電イミュニティ試験

2015/12/17

みなさん、こんにちは。日に日に寒さも増してきましたが、いかがお過ごしでしょうか?
これからの季節、たくさん厚着をするのに加え、空気が乾燥するのでお目見えするのが静電気。嫌ですよね、あの「パチッ!」暖かくなるまでの暫くの間付き合わなくてはならないかと思うと気が重いです。

EMCの試験方法

さて、今回もEMCの話にお付き合い下さい。前回からは実際に測定や試験はどのように行われるかをお話させていただいており、前回はEMI(エミッション)の測定方法についてお話しましたね。今回からはEMS(イミュニティ)についてです。EMSは項目が多いので、数回に分けて書きたいと思います。
ここではIECの61000-4シリーズで規定されている試験項目についてお話しましょう。
簡単なおさらいですが、IECではTC77という専門委員会でEMC規格について審議されていますが、この中から多くの製品規格でも取り入れられているSC77B(高周波EMC)で作られた規格のうち、良く適用される代表的ないくつかについてご紹介しましょう

IEC 61000-4-2 静電気放電イミュニティ試験
IEC 61000-4-3 放射無線周波電磁界イミュニティ試験
IEC 61000-4-4 電気的高速過渡/バーストイミュニティ試験
IEC 61000-4-5 サージイミュニティ試験
IEC 61000-4-6 無線周波電磁界による誘導伝導妨害に対するイミュニティ試験
ちなみに、IEC 61000-4-1はこのシリーズの概要について書かれています。

IEC 61000-4-2 静電気放電イミュニティ試験

それでは、最初にIEC 61000-4-2 静電気放電イミュニティ試験についてです。
静電気放電とは、異なった静電気電位を持つ物体間での電荷の移動でインパルス的な電磁界が発生する現象を言います。と、いきなり難しい話になってしまいましたが、冒頭でお話した「パチッ!」、まさにあの現象です。パチッとしたときに電子機器にワルサをするノイズが発生するんです。そうすると第1回目の①に書いたように機器が誤動作して使えなくなってしまうなんてことが起こってしまいます。
今の機器はこのような誤動作はまず起こらず、古い例えになってしまいましたね。それだけ十分な対策が施されている裏付けでもあります。
実際はどのような試験を行うのでしょうか。

 

pic-onyx

 

試験は写真のような通称ESDガンと呼ばれるピストル型の試験器を使いますが、ちょうど人に静電気が溜まり、機器に触れたときに放電する状態を模擬できるような電気回路が組み込まれています。人体と等価な電気回路は大凡250pFのコンデンサと150Ωの抵抗で近似できるようです。

 

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このESDガンを製品に近づけて回路に溜まった電気を放電させて試験を行いますが、そのときの放電電圧は、規格によって機器毎に決められています。
例えば靴を履いた人が乾燥した部屋で絨毯の上を歩くと、数kV~数十kVの電気が溜まると言われていますので、これを模擬するために電圧も同じように設定するわけです。
実際の試験では、低い電圧から1kV、2kV、4kV、8kVといったように徐々に上げていきます。試験の対象となる部位は、人が触る可能性のある部分で、スイッチやボリュームなどのツマミ類、タッチパネル他製品を扱う際に触れるような部位に対して試験をしていきます。放電のさせ方にもいくつか種類があり、金属のパネルやビスなど製品の表面が金属である部位には、「接触放電」といってESDガンの先端をあらかじめ試験する部位に接触させた状態で放電する方法。

 

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金属部分が樹脂などで覆われていたり、非金属の部位には「気中放電」といってESDガンを試験(放電)状態にしながら、その部位に徐々に近づけていき、放電させる方法があります。

 

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これらは機器に対して直接ガンを当てる「直接放電」という方法です。これに対し製品のすぐそばに金属のプレートを置いて、そのプレートに対して放電を行う「間接放電」という試験も要求されています。これはいくつかの製品が並べて置かれているとき、ある製品に対して静電気の放電が起こったときに、隣の製品が誤動作しないか?を確認する試験です。直接放電しないのに影響されるの??と思われるかも知れませんが、前にも書きましたように、放電するときに発生する電磁界がノイズとなることから、結構起こり得るんですね。

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実際の試験は、グランド板の大きさや接地線の接続など細かい決まり事がありますが、ここでは試験方法の説明ですので、省略させていただきました。
急ぎ足で説明しましたが、だいたいおわかりいただけましたでしょうか。身近に存在する「静電気」、これもノイズの元となるんですね。
次回はIEC 61000-4-3 放射無線周波電磁界イミュニティ試験の内容について書いてみたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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EMCの試験方法②IEC 61000-4-3 放射無線周波電磁界イミュニティ試験
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本稿もいよいよ5回目になりますが、いつもお読みいただきましてありがとうございます。今回もまた軽く読み流していただければと思います。

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