コラム

EMCの測定方法

2015/12/17

みなさん、こんにちは。

さて、前回まではEMCの基本的な部分について書かせていただきましたが、3回目を迎え、いよいよ具体的な測定や試験の方法についてお話していきましょう。

EMCの測定方法

ただ、ひとつひとつの製品に対する規格(製品群規格)まで含めると星の数ほどになってしまいますので、ここでは、基本規格(EMCの基本となる規格で、測定や試験方法の多くはここで規定されています)に沿った内容でお話します。

また、概要をできるだけ簡単に説明したいと思いますので、より詳しい内容が知りたいときは、専門書を開いていただくか、セミナなどに足を運んでいただければ幸いです。
前回までにEMC試験は大きく製品が出しているノイズの強さを測るEMI(エミッション)と、製品にノイズが飛び込んできても正しく機能しているかを試験するEMS(イミュニティ)から成り立っていることをご説明しましたが、まずはEMI(エミッション)についてお話しましょう。

emcemiems

EMI(エミッション)測定 ここではEMCの中で、製品が出すノイズの測り方についてお話したいと思います。

1回目でお話しましたようにノイズが全く出ない製品ができれば言うことありませんが、これは夢物語で、多かれ少なかれ必ずノイズは出てきます。
そのため、どのくらいの強さまでは大丈夫といった線引きが必要になります。これを規格で細かく規定しているのです。

でも強さの線引きしただけでは不十分です、どうしてでしょう?
ラジオやテレビの近くでヘアードライヤーなどの電気製品を使ったときのことを思い浮かべてください。ドライヤーをONするとジオから雑音が出たり、出レビの画面が乱れたりしますが、ドライヤーの強弱を変えたり、遠ざけたりすると雑音や乱れの度合いが大きくなったり、小さくなったりしたという経験をされた方も多いのではないでしょうか?

dry

そうです、ノイズを測りたい製品の設定や、製品までの距離などノイズの測り方も細かく規定しないと正しい判定ができません。

本来ならば10という強さのノイズを出す製品も測り方によっては5になったり、20になったりしますので、測り方も規格で細かく規定されているのです。
さて、この厄介なノイズですが、製品の中から放出されるとき、様々な形で姿を現します。(と言っても目に見えるわけではありませんが)既に電波という形になって飛び出してくるもの、電源の線を電流となって流れ出してくるもの、その流れ出た電流がケーブルをアンテナとして電波として姿を変え飛び出すものなど。このようにノイズが通る経路によってもいくつかの測り方が規定されているのです。

伝導エミッション

伝導エミッションと放射エミッション、ノイズが通る経路で測り方も変わってきますが、基本的な測り方はこの2つ。

伝導エミッションは読んで字のごとく電線を伝わって(通って)きたノイズを測る方法です。

電源線を通って出てくるノイズはLISN(電源インピーダンス安定化回路網)という装置を電源線の間に接続して測ります。

この装置は電源の周波数成分(交流の50ヘルツや60ヘルツ)を阻止しながら測定したいノイズ成分を測定器に送り出す役目を果たしています。

この装置は同時に製品の電線を家庭などのコンセントに挿したときと同じような特性(振る舞い)となるような回路が組み込まれています。
電源線に対して使われるLISNですが、同じ目的でLANなどの通信線に対してはISNという装置が使われます。

lisn

伝導エミッションの測定を行うときも製品とLISNやISNとのつなぎ方や置き方、測定を行う場所の条件などが細かく決められています。

放射エミッション

一方、放射エミッションは電波になって放たれたノイズをアンテナで捉えて測る方法です。
前出の伝導エミッションはノイズが電線という目に見えるものを伝わるのでわかりやすいですが、電波となって空間に飛び出したノイズを測るのはなかなか難しいんです。製品のどの方向から強く放たれているかを把握するために、捉えるアンテナを上下させたり、製品をターンテーブルという回転台の上に載せてグルグル回したりするんですよ。その分、測定に費やす時間も大きくなることから、近年ではできるだけ広い周波数範囲で使えるアンテナを用いることで、交換回数を減らしたり、測定ソフトウェアを使って短時間で測定できるように工夫がされています。
また、この測定では電波を測ることになりますが、電波というのは壁などで反射する性質がありますので厄介者なんです。(材質によっては通り抜けたり吸収されたりもしますが)普通の試験室や実験室では電波の反射が起こり、実際に放出されたものと干渉が発生して正確に測ることができなくなります。このような状態を解決するために、電波の反射を起こさないような電波吸収体という材料を壁や天井に取り付けた電波暗室という部屋で測定が行われます。

chamber

放射エミッションも伝導エミッションと同様に、製品を置く測定テーブルの高さや、アンテナまでの距離、更には測定場となる電波暗室の特性などの条件も決められています。

国際規格では、CISPR16に今回お話したような測定方法や試験配置の規定、使われる測定機器の特性や条件について既定されています。
今回はEMI(エミッション)測定についてお話させていただきましたが、次回はEMS(イミュニティ)試験について書いてみたいと思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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