コラム

EMCって何?

2015/12/17

はじめまして。マイクロウェーブファクトリー株式会社の八田と申します。

以前に比べれば比較的良く目にするようになってきた「EMC」という言葉ですが まだまだ一般的には理解されていないのではないでしょうか。
初回ではこのEMCとは何かを、2回目以降ではその規格や評価方法について説明させていただきたいと思います。

 EMCって何?

最近ではEMCに関する書籍も多く発行されるようになり、目にされた方も多いのではないでしょうか。多くの場合その冒頭には、EMCとはElectromagnetic Compatibility 電磁環境両立性と説明されています。電磁環境って?両立って?なんだか難しいですね。

みなさんはこのような経験をしたことがありませんでしょうか?

① オフィスで資料をコピーしようと自分のデスクからコピー機の前へ行き、ボタンに触れたら「パチッ」と静電気。その直後コピー機が動かなくなってしまった。あれっ、間違った使い方していないのに~!?

② コンビニに立ち寄った際、入口のドアに立つ前にドアが開いたが、出入りする人は誰もいない!幽霊の仕業!?

③ 好きなアーティストが出演しているテレビ番組を観ながら、掃除をしようとテレビの前で掃除機のスイッチを入れたら、画面に斑点のようなものが出て画面が乱れてしまった。
チクショ~!

④ お風呂上がりに髪を乾かそうとヘアードライヤーを使ったら、隣で音楽を聴いていた妹のオーディオスピーカーから「バリバリ」と大きな音が出て驚かせてしまった。ゴメン!

⑤ 自動車運転中に、アクセルを踏み込んでいないのに急にスピードが上がりヒヤッ!とした。

⑥ 工場のロボットが突然自分に向かって動きだし、怖い思いをした。
どれも不可解な現象ですね。

これらの現象は一部に過ぎませんがノイズの仕業であることが多く、特に事例⑤などでは最悪の場合とても大きな事故に繋がる可能性があります。
① 、②や⑤⑥は製品が本来の姿とは異なった動きする、正常な動作ではなくなる、つまり 誤動作してしまった例です。
③、④は本来得られる情報に余計な不要物が入り込んでしまい、情報の質が落ちてしまった例です。

ここで出てきたノイズとは何でしょうか。

EMCについて書かれた本を開くと必ず出てきますね。

EMCとノイズは切っても切れない関係にあるのです。

ノイズという言葉を辞書で引いたりWeb検索すると、「必要となる情報以外の情報」「雑音」などと出てきます。ひとことにノイズと言ってもうるさい音や騒音といった「音」に関するものや、電気・電子機器の動作を妨げる信号といった「電気」に関するものなどがありますが、上述のような不可解な現象は後者の電気的に発生したノイズが原因となり、電源線や電気信号線を伝わったり或いは電波となって空間を伝わって電気製品に入り込んで影響を及ぼしたものです。

ノイズがワルサをするのであれば、この世からノイズを排除してしまえば良い!確かにそうですが、なかなかそう簡単に片付けられないものなのです。どうしてでしょうか?

音で例えると、若い世代の方は知らないかも知れませんが、今ではCDなどに置き換わりほとんど目にすることの無くなった音楽メディアであるレコード。

私を含めたある程度年配の方々はこれを再生するときに、盤面に付着したホコリや付いたキズで出るパチパチといった音(スクラッチノイズ)を「あのときに付けたキズの音なんだぁ」などと懐かしむこともあったり、重いディストーションで大音量なヘヴィメタル音楽を最高!と感じる人もいれば、単なるノイズ感じる人もいますよね。人によっては不快(ノイズ)と感じる音も、他の人はそうは感じないといったことがあります。

電気信号も、製品によってはその信号が非常に重要な役割を持っている、例えばパソコンなどその心臓部となる演算装置を動作させるために必要なクロック信号も、別の製品では単なるノイズでしかないことが多々あります。

同じように、必要な情報を送ってくれるテレビやラジオの放送局、各種業務の無線通信、携帯電話やLANなどの情報端末、安全を守る航空レーダーなどで使う電波は必要不可欠なものですが、これらに使われている電波も場合(機器)によってはノイズになり得ることがあります。

元々ノイズと呼ばれる必要ないものはもちろんですが、必要な信号も場合によってはノイズとなり得るということを知っておくことが重要です。
さて、電気的なノイズは電気を使って機能する製品(電気・電子機器)からは多かれ少なかれ必ず発生するものです。
単に電線に電流が流れるだけでもノイズは発生しますし、スイッチやモーター、点火プラグなどから発生する放電ノイズもあります。

また、これらは人工的なノイズになりますが、雷や静電気など自然現象で発生するノイズもあります。
さらに、前述しましたように、通信に使う電波などの必要な信号もノイズとなる場合があり、これらを総じて電磁環境と呼んでいます。

冒頭の現象(製品の誤動作、情報の質が低下)はノイズの仕業であることは書きました。
が、ここであれっ?と思いませんか。

そう、
多くの場合ノイズを出すのは電気・電子機器、は同時にノイズの影響を受ける立場でもあるんです。

今日、パソコンやスマートフォンなどの携帯端末、テレビ、ラジオなどのAV機器など私たちの身の回りは多くの電気・電子機器で溢れていますし、今後も技術の進歩により更に増えていくことでしょう。これら機器が多くのノイズを出し、そのノイズの影響を受けてしまったらどうなるでしょう?

想像するだけでも恐ろしいですね。そこでノイズの発生を抑えるとともにノイズに対する耐力を上げることが極めて重要になってきます。

このように製品が発生するノイズによって電磁環境を汚さない、また悪化した電磁環境の中でも影響を受けることなくその性能を充分に発揮することができる能力がEMCということになります。

全くノイズを発生しない、或いはノイズの影響を全く受けない製品ができれば言うことありませんが、現実的には不可能であり、どうしても限界があります。
そこで、発生するノイズレベルがどこまでならOKですよ、どのレベルまでの耐力があればOKですよと規定を設けて、その規定に合わせるような製品づくりがされています。

この規定となるのがEMC規格で、国で決められたもの、製品の業界団体で決められたものなど様々ですが、次回はこのEMC規格についてお話しようと思います。

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